国王は、翌日、ロザンネイへ戻って行った。
国王を見送りながら、カイに訊ねた。
「カイは・・・その・・・どんな話をしたのですか？」
ロザンネイの国王があっさり引き下がったと言うのはおかしい。
「ああ・・・セイネは、他の何物にも換える事等出来ないから・・・」
そう言って、カイが私を抱き寄せる。
答えになっていない。
カイは、誤魔化そうとしているのは分かるけど・・・頬がポッと赤く染まるのが分かる。
カイが自らの意志で抱き寄せてくれるのは、初めてではないかしら・・・
「まず、国内の整備から始めないといけないな・・・セイネ、何事にも公平で
信頼のおける人物を知らないか？」
「え？・・・ええ・・・リンデ侯がよいと思いますけど・・・」
「うん・・・それから、奴隷制度も廃止しないと・・・セイネも奴隷のままだと辛いだろう」
「ええっ！？・・・私、奴隷のままだったんですか？」
「制度がある内は・・・ね」
「そ、そうだったのですか・・・」
「タイトルも換えないといけないかな・・・『王女様は奴隷』・・・とかね」
「は、早く制度を廃止しましょう」
「ははは・・・でも、最後は、この制度でセイネを守ろうって思ってた・・・
セイネは、私が所有しているものです。誰も手出し出来ません・・・ってね」
それは・・・それなら、あってもいいかな・・・
今なら言えそうだ
「カイが・・・去年、花をくれたの覚えているわ」
「え、覚えているの？」
「ええ・・・青い目が印象的だった・・・私の初恋・・・です」
「・・・俺も覚えている。緑の瞳が綺麗だって・・・その時から気になってたよ」
「ほ、本当ですか？」
「ああ」
なんか、とても幸せな気分・・・でも、天国のお父様には悪いような気にもなる。
わたしが、幸せになれば、喜んでくれるのかな・・・
国王の一行は、もう見えなくなっていた。
でも、疑問は、はっきりさせておきたい。
「カイ・・・先程の話ですけど・・・」
カイは半分あきらめたように言った。
「取引をした」
「え？取引ですか？」
「ああ・・・」
「それは・・・それは、私を守るために・・・」
本当は、”どんな？”って訊きたかったけど・・・
カイの顔に訊くなって書いてあったから・・・
「ああ・・・」
「良いのですか・・・私の為に」
「・・・セイネは、他の何物にも換える事等出来ないから・・・」
最初と同じ答えが返ってきた。
カイがそんなに私のことを想ってくれるなら・・・私も、カイが私を想ってくれる
以上にカイのことを想う・・・
エピローグ 終了
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