あれから１週間。

元に戻れたのはいいんだけど、なんか家族、友人達からの評判がよくない。

体育館の裏、ここなら、誰もこない。

「は、晴香、どんな俺を演じたんだよ」

「あんたこそ、何したのよ。私のイメージめちゃくちゃ」

「めちゃくちゃって、晴香が理想の女の子を演じろって言ったんじゃないか」

「それはそれ！裕香なんか、演奏料払わないのよ。下宿にもなかなか帰らないし」

え？なんか・・・それって、あんまりな言い方・・・それに

「裕香って、お姉さんを呼び捨てにしちゃ、だめだよ。晴香」

「お母さんだって、お手伝いいっぱいさせるし『孝ちゃんのほうが素直でよかったわ』なんて言うし」

え？お手伝い？

「あ、あのくらいのお手伝い・・・確か晴香の夢って、かわいいお嫁さんじゃなかったか？」

そ、そう、確かにそう聞いたぞ。この言葉、胸に突き刺さったんだからな。ぐさっって。

「そ、それは・・・昔、そんなことを思ってた時もあったわ」

「おい、過去形にしてどうする！」

「あの頃は若かったわ」

晴香が遠い目をしてる。

なんか、詐欺にあったような気になってきたぞ。

「・・・・」

「水都さんや原田さんからも、『感じ変わったね』って言われるし、弥生なんか『本物の晴香？』

なんて言うのよ・・・こっちが本物なのに」

あ、それは、あったな。

「晴香も？俺も母さんから『本当に孝ちゃん？』って。『成績が上がったと思ったら、また、

ダラダラしてるし、前みたいに、きりっとして欲しいわ』なんて言われるし。コースケからは、

おねー言葉は止めろって」

あ、最後の一言は余計だったかな？

「な、なに？まだ治らないの」

「へへ、２ヶ月以上、晴香やってたもんで・・・」

ここは、笑って誤魔化すしかない・・・

「どっちにしろ、気を抜きすぎちゃったかな」

お互い、顔を見合わせる。

「「はあ〜っ」」

このため息がまずかったのかもしれない。

一瞬、目の前の空間が歪んだ様な気がした。クラって感じで。

「えっ、あれ」

「え、うわーっ、また入れ替わっちゃったのかよ」

「あ、本当だ」

「は、晴香、どうしよー」

もう、あんな生活・・・したくないよォ

「孝、落ち着いて」

「落ち着いてって言われても・・・」

「大丈夫よ。またキスすれば、戻れるはずよ」

「あ、え、そ、そうなのか？」

さすが、晴香って感じ。

「うん」

よし、それじゃあ

「あ、あの、晴香、キスしてもいい？」

「ヤダ！」

「えーっ」

そ、そんな・・・冗談だよね。晴香。

「孝風に言ってみました・・・折角、また男の子になれたのに、勿体ないじゃない」

「そ、そんなあ」

「戻れる方法もわかってるのに、楽しまなくっちゃ」

「ほ、ホントに戻れるの？じゃ、キスするたびに入れ替わっちゃうってこと？」

「えっ・・・うーん、孝、ちょっと」

「え、あっ、ん」

・・・・

「あ、あれ？」

「い、いきなり、な、なに・・・」

「孝、もう一回」

「え」

・・・・

「あれ？おかしいな？な、なんで？」

「は、晴香、ひ、ひどい・・・舌」

「孝、どうしよう、戻らないよォ」

「え？・・・えーっ」





エピローグ　終了




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